SSブログ

再び・長崎ぶらぶら節 [お気に入りの音楽や映画・お店]

お昼のニュースを見ようとテレビをつけ、何気にチャンネルを変えた瞬間
見覚えのあるお座敷のシーンが写った。
吉永小百合主演の映画「長崎ぶらぶら節」(作詞家なかにし礼氏の小説を映画化したもの)
吉永さん扮する丸山芸者 愛八が海軍の宴席で軍艦「土佐」を慈しむ唄を
即興で歌い、土俵入りを見せる場面だった。

 あらすじ
 異国情緒漂う長崎は丸山に愛八という名の芸者がいた。
 長崎郊外の網場(あば)という貧しい漁村に生まれ、
 10歳の時に丸山に置屋奉公に出て、早くも40年近くが過ぎようとしていた。
 そんなある日、愛八に運命的な出会いが訪れる。
 ●監督 深町幸男  ●出演 吉永小百合、渡哲也 ●配給 東映

長崎ぶらぶら節

長崎ぶらぶら節

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD


仕事の途中だったが、つい引き込まれて観てしまった。
夢千代日記の吉永さんはすてきだったが、愛八役もさらにすてきだった。
私はこの小説を長崎に帰省した際、父親に借りて読んでおもしろかったので
東京に戻った後、すぐに映画館に足を運んだ。
東映はガラガラに空いていた。その時も泣いたが、今日もまた泣いた。
愛八の生き方があまりに切なく哀しかった。
けれども凛とした強さや気っ風の良さをもち、面倒みがよく
一途な愛を貫きとおす愛八に、心惹かれた。

愛八が想いを寄せるのは、渡哲也扮する市井の歴史学者の古賀十二郎。
「な、愛八、おうち、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」‥‥

長崎ぶらぶら節

長崎ぶらぶら節

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2000/07/26
  • メディア: CD


映画館を出て、立ち寄ったCDショップで愛八が歌う「長崎ぶらぶら節」の復刻版を
買って帰った。
その中でなかにし礼氏が「詩人の魂」というタイトルで文章を寄せている。
読んで胸が震えた。
ここに全文を紹介したいのだかそうもいかないので簡単に引用すると
なかにし礼は、ある時、歌と風土との関係について考えてみようとたくさんのCDを買い
北海道から聴き始め九州に至り何人かが歌う「長崎ぶらぶら節」を聴いた。
ところがたった一人、耳について離れない歌いっぷりの人がいた。
その声と歌に衝撃に近い感動を受けたという。
古い歌を発掘するなどという作業は、よほどの暇人か酔狂もんにしかいない。
そんなことをした人はいったいどんな人だったのだろう。
それから、なかにし氏の長崎通いが始まって一編の小説が完成し直木賞を受賞。
彼は最後にこう記している。
「歌の力というものは不思議なものだ。私はその神秘に打たれるのである。
ロンタン、ロンタン、ロンタン────まこと詩人の魂は不滅だと思いつつ。」

愛八姐さんの「長崎ぶらぶら節」もしも機会があったら聴いてみて下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
New!
2008年10月に書いた日記を再びUPさせています。
このところ、とても気になっている詩人の西條八十(やそ)が
全国の歌探しの旅で愛八と出会い、「長崎ぶらぶら節」のレコード化が実現したのです。
なかにし礼が出会ったのはその歌でした。
西條八十は金子みすゞを見いだした人としても知られています。
また、森村誠一原作の映画「人間の証明」のテーマ曲で唄われ
キャッチコピーとしてもあまりに有名な
 ー母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?
  ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで
  谿底へ落としたあの麦わら母子ですよ。

この詩は西條八十の詩でした。
ジョー山中の哀愁を帯びた歌はあの時代に誰もが酔いしれたし、
映画の中で松田優作がこの詩を朗読するんですね。
というわけで、どうしても映画「人間の証明」が見たくなってしまったので
TUTAYAに借りに行こうと思います(笑)


人間の証明 [DVD]

人間の証明 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD



コメント(2)  トラックバック(0) 

コメント 2

みえこ

吉永小百合さん、大好きです。
すてきな映画のご紹介ありがとうごさいます
映画みたい。歌も聞いてみたいです。
女性が女性らしく、男性が男性らしく生きていた時代をみると、
うらやましくさえなります。
by みえこ (2008-10-26 08:40) 

masako

みえこさん、映画や小説はフィクションなので
事実とは異なりますが、愛八と古賀十二郎の歌探しの旅の
シーンがすごくすてきなの。
ポスターの写真、崇福寺の階段を三味線片手に古賀の後を追う
愛八の着物姿がいいんだな。
好きな人にはたまりませんよ。
襦袢姿で、しこを踏む小百合さんもかっこいいです!

この映画(小説)は男と女の究極の愛を描いているんだと
思いますよ。。だから泣けるんです。
本もよかったら図書館で借りて読んでみて下さい(笑)
なかにし礼は、愛八の歌をこう評しています。
「たった一人の人間が全人格をさらけだして歌って
いる。(中略)歌うことの喜びとともに悲しみがあり、
歌以外に生きるすべを知らず潔くてこだわりがなく、
いっさいを捨てた透明感。(略)」
愛八の歌を今、聞けるのは軌跡のたまものです。
ライナーノートを読めばそれがわかります。
その軌跡に、私は感動しているのかもしれません。
ちょっと長くなりました。
書きたいことは山ほどあるのですが、、、
またの機会に。。



by masako (2008-10-26 12:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0